憧れの君。

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時は学生時代、写真倶楽部の同級生がM-1を購入した。その小さいながらもシャッター巻き上げレバーやフイルム巻き戻ノブなどは、他のメーカーよりも大きく、見た目の小ささとは違い操作性がよいなというのはすぐに判断できた。シャッタ音の何とも言えない響きもまた素晴らしかった。程なくして私もユーザーとなったのだが私のはOM-1の方だった。

同じマウントのカメラは、お互いのレンズを交換しながら使う事が多く。お互いかぶらないレンズを買うようにした。彼が購入したレンズの一本がこのOM75-150mmF4だったのだ。当時は望遠好きな私は(今でもなのだが)一目で好きになってしまった。2倍ズームと地味な倍率だが、当時のズーム事情を考えると、無理の無い倍率で好感が持てた。機会を見てはよく借りていた、それでも所有者は彼で私のレンズでは無かった。

体育館でクラブ活動を見ていた二つ下級の憧れの君を、ひっそりと(あくまで「ひっそり」で「こっそり」ではない)撮影し引き伸ばし機で四つ切りまでプリントしていた、ほろ苦い青春の時季。今もこのレンズは特別で、そんなよき想い出のシンボル的な存在。出物があれば、いやきっとたいみんぐが合えば、いずれは手元にと思っていたのだが、そのたいみんぐが訪れた。
ショップの写真では箱付きだけだったのだが、実際現物が来て中を開けてビックリ。なんとレンズケースにタグ、更にはレンズ価格表までもが入っているではないか。相応の金額ならまだしも、非常にリーズナブルな金額だったのでうれしいというか、やはりたいみんぐはあったのだなと思う。

レンズ描写自体の評価は置いておいて、勿論使いはするが撮る目的の為だけに買ったのではない。これこそもう少し時が流れて、縁側で日向ぼっこでもしながらカメラとレンズを磨き昔を懐かしむ、私にとってはそんな存在の究極の一本なのだ。所有した喜びが、当時の事を甦らせてくれる。ようこそ、やっと逢えたね。そんな感じである。

当時のM-1使いの彼は、今でも私の誕生日には電話をかけてきてくれる。これと言って話す訳でも無いのだが今でも当時のままの二人である。彼は、カメラ部署ではないがキヤノン本社勤務である。逢う機会があれば、思う存分自慢してやろうと思う。
OlympusよE-Systemでもこんな思いにさせてくれないか!

 

5件のコメント

  1. yy2828yyさん
    TBありがとうございました。
    私も驚いた、フルセットでした。
    前オーナーの大事にされていたのが伺えます。
    余生は私が引き受けました!って感じです。
    ガンガン撮るレンズでは無いのですが、
    どうしても手元に欲しかった青春の証のレンズです。
    ズームではありますが、ちゃんと思想というか
    ズームだがポリシーを感じるF4固定と倍率2倍に控えられたズーム比
    ピントリング・ズームリング、プリント文字のカラーリングなど
    デザイン的にも好きなんです、まぁ「彼」のレンズと言う
    羨ましさもあったのかも知れませんけどね。
    デジタルの方は、シッカリと見届けようと思います。

  2. ≠トラウマ

    基本的に一度手に入れたカメラを売っ払ったりは出来ない性質です。もちろん、レンズやフラッシュも同じです。今までではただ一度、<Zuiko Macro 50m…

  3. こんばんは。
    遅ればせながら…なんという美しさでしょうか。
    私のは動きはまだシッカリしているものの、かなりヨレヨレです。
    箱もケースも値札も置いていますが…ここしばらく使っていません。
    レンズ自体のかっこよさは今なお感じるんですけどね。
    ちょっといい思い出話を拝読し、私も勝手にTBさせていただきました。
    どうぞ悪しからず。

  4. M2さん
    ありがとうございます。
    OM-1復帰してから、ずっと気にしてウォッチしていたのですが
    今回やっと、良さそうなのがみつかりました。
    開けてビックリで全てが揃っていると言うおまけ付
    来るべきしてやって来たレンズなのだなと確信しています。
    おっしゃるように当時のズームレンズとしては
    異色の存在で、その印象が今でも脳裏に焼き付いている感じです。
    カメラ小僧だったころの、想い出多い一本がゲットできました。

  5. おめでとうございます。
    某氏も「かっこいい」と一目置かれるズームですね。
    OMのLENS BOOKでは浅井愼平氏が作例と文を寄せられていました。
    当時、個人的印象としては直進ズーム全盛?でしたが、この回転式ズームの格好良さは図抜けていた印象があります。
    時代は移ろい、今では高値安定のOMレンズ群にあって格安で出回る事の多いレンズではありますが、やはりカッコいいのですよね。
    それにしてもこの状態での“出物”とは凄い。
    やはりタイミングというのはあるのでしょうね。

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