9月10日日曜日の昼下がり、目撃情報によれば「シューー」という音の後「ボムッ!」という小さい破裂音と共に白い物体が360度飛散したとのこと。一瞬の出来事でいったい何が起こったのか茫然自失。「えっ?、えっ?」その瞬間現場に居合わせた主婦Kさんの証言によると、シューという音を聞き何の音?と考えていると次の瞬間ボムッという音と共に赤いキャップが宙を舞い、続けざまに白い物体が辺り一面飛び散ったのだという。Kさんはキッチンにあるまな板のおかげで、直接の飛散は避けられたものの、状況がわからず暫く立ち尽くしていた。
しかし我に返ったKさんが、状況把握のため爆発現場へと足をすすめてみると350ミリリットルのペットボトルがそこにあったのだ。3分の1位残った白い物体は、甘い香りを放っていたとか。ボトルにはキャップの下に中栓があり、ドレッシング等で使われているあの輪っかを引っ張って切り離すタイプ、その半分が裂けキャップをも押し上げて爆発したことになる。
そのラベル表示を見たKさんは愕然とした、ラベルに表示されていたのは「甘酒」そう、3日ほど前に義父がどこからかもらってきたものであった。片隅に「要冷蔵」と記されたその爆発物は、気温の上昇と共に発酵が進み限界値を超えて爆発に至ったようだ。その爆発規模は尋常ではなく、半径4〜5m、360度全域が被災地域に指定された。
爆発物の近くにあった遮断物により難を逃れた場所もあったが、キッチンにある瓶などの調味料は全て半身が被災、テーブル、床、さらにはダイニングの椅子の裏側までも被災し、白い個体と共に液体が放射状に付着。そのあまりの被害状況に声も出ない状況で立ち尽くしたとのことであった。
約3時間程で現場復旧には至ったが、復旧作業中は暗い空気が現場を覆っていたという。Kさんは要冷蔵とは知らなかったと語っている。今後また甘酒が搬入されれば必ず冷蔵庫に入れると涙ながらに訴えていた。しかしこの家庭内テロには後日談があった。5人の家人は誰一人として甘酒を飲まないのである、最初の運び屋義父も悪びれた様子もなく、今回は執行猶予となった。
爆風が壁のクロスへ届いていなかったのが唯一不幸中の幸いであった。
皆様も甘酒の常温保存にはくれぐれもお気おつけを!